MQAで聴くクラシックの名盤

 

文:野村和寿

ハイレゾをもっと身近に楽しみたい。MQAはその夢をかなえる先端技術です。膨大なサイズのハイレゾ音楽ファイルのサイズをCD並にコンパクトにしながら、スタジオ・クオリティの音質を再現させます。またMQAファイルは互換性に優れ、MQA対応機以外でもCDクオリティで楽しむことができます。ここでは、すでにe-onkyo musicで販売されている、選りすぐりのクラシック音楽をMQAバージョンで試聴してご紹介しております。

 

執筆者紹介

 

雑誌編集者を長くつとめ、1975年にカール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団日本公演のブラームス交響曲第1番の最終楽章で、鳥肌が立ち、帰り道をさまよった経験を持つ。爾来、クラシックを生涯の友として過ごしてきた。編集者時代、クラシック以外のロックやジャズといったジャンルのアーティストと交流を深めるうちに、クラシックと、楽しさにおいて何も変わらないことに確信を持つ。以来、ジャンルを取り払ってハイレゾまで、未知なる音の発見の喜びを日々捜している。MQAを提唱しているイギリス・メリディアンには1991年以来2回オーディオ雑誌の取材で訪れ、基本コンセプトに魅せられた。またカメラ好きでもあり、特にドイツの光学製品に魅せられ、ライカのカメラ群とそのレンズの蒐集に執念を燃やしている。

 

 




NEW 6月21日更新

第11回

心躍るテンポ、晴れやかなメロディ

 海に面して陽光降り注ぐイタリアを音楽にしたらどうなるだろうか?イタリア人よりも、その喜びはむしろ、異邦人のほうが強く感じられるのではないだろうか?古今東西の作曲家ロシアのチャイコフスキーも、オーストリアのモーツァルトも、そしてドイツのメンデルスゾーンも。 

朝の陽光降り注ぐ、イタリア・ナポリ、ホテルのテラスで、イタリアのコーヒー・エスプレッソとともに美味しい朝食をいただくことをちょっと想像してみてほしい。もちろん、イタリアのナポリっ子はもちろんのこと、それも日頃はなかなか陽光に恵まれることの少ないドイツからの旅人だったら、その目の覚めるような明るい光への喜びはいかばかりであろうか? (続きを読む)

 

メンデルスゾーン 交響曲第4番イ長調作品90 「イタリア」

クリスティアン・ティーレマン指揮

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

 


 

カラヤン!カラヤン!カラヤン!~ハイレゾ・ベスト Selected by 名曲喫茶 月草~

 

ヘルベルト・フォンカラヤン指揮

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

フィルハーモニア管弦楽団


 

《第1回》円形に並んだ弦楽器群から広々とした空間に広がって行く音の醍醐味を味合う

 

現在市販されているMQAソフトの中でクラシックの名盤をレビューしていきます。第1回はチャイコフスキーの弦楽セレナード トロンハイム・ソロイスツを取り上げます。

 

ノルウェーというと何を連想するだろうか。北欧の国、北極に近くて、ノーベル平和賞の授賞式が行われる国。その昔はバイキングが大海原を闊歩した国、画家ムンク(1863-1944年)の絵画「叫び」、大気の発光現象オーロラが見られる国、北欧の冷涼な空気の中で、住み心地のよさそうな、社会保障の充実した国。音楽好きにもうひとつ、ビートルズの曲「ノルウェーの森」そして村上春樹の小説『ノルウェイの森』・・・。(続きを読む)

 

『スーベニール(思い出)パート1』〜チャイコフス 

弦楽セレナーデ/ニールセン 弦楽のための小組曲

トロンハイム・ソロイスツ


《第2回》13の異なるクラシック音楽の楽しみをカラヤンの指揮で堪能

 

クラシック音楽がなんだか最近、急に自分に合っている音楽だと思えてきた。たくさんあるクラシック音楽、いったいどこから攻め落としていけばよいのだろう?そんな方のためにとっておきのMQAアルバムをご紹介する。 

 

「クラシック音楽作品名辞典」改訂版によると、クラシック音楽の作曲家はおおよそ1,240人、作品名は約43,900もあるという。(『クラシック音楽作品名辞典改訂版』・三省堂より)実際にクラシック音楽作品は、もっとあるかもしれない。残りの人生すべてをかけてさえも、そうそう網羅して聴くことは難しいほどの正に膨大な数である。

 この膨大な数のクラシック音楽を録音してしまうという偉業に、たったひとりで、挑戦した20世紀を代表する大指揮者がいた。ヘルベルト・フォン・カラヤン(19081989年)である。(続きを読む)

 

『カラヤン ザ・ベスト・オブ・マエストロ』

 フィルハーモニア管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


《第3回》マリア・カラスをMQAで46曲たっぷりと味わう

 

みなさんは、マリア・カラスというソプラノ歌手をご存じだろうか? もちろん知っている。という方は、以前からの相当なクラシック通でいらっしゃると思う。また名前は知っているけれど・・・という方、この際、一度聴いてみたいと思う方に向けて少々マリア・カラスについて、語っていくことにする。

 

2017年がマリア・カラス没後40年ということで、MQAのハイレゾで、ワーナー・クラシックスから42タイトルものアルバムがリリースされた。本アルバム『ザ・ニュー・サウンド・オブ・マリア・カラス』(旧EMI音源 現ワーナー・クラシックスのリリース)には、この中から、マリア・カラスのいろいろな側面をうかがい知ることができる46曲もの歌唱が収録されている。アナログのヴィンデージ盤であれば、1枚が数万円という価格で取引されていると聞くというのに、なんと大盤振る舞いなことだろうか!(続きを読む)

 

『ザ・ニュー・サウンド・オブ・マリア・カラス』

マリア・カラス(ソプラノ)


《第4回》サー・ラトルの指揮で楽しむ正統派のイギリス音楽組曲『惑星』!

 

地球と同じく太陽の周りを回っている惑星。西洋占星術をヒントにイギリスの作曲家ホルストは壮大なオーケストラ組曲を完成させた。組曲『惑星』のパースペクティブな音楽にひたりたい。

 

ホルストの『惑星』といえば、ほぼ1970-80年代に青春時代を過ごした私のような音楽好きにとっては、驚きをもって迎えられる曲だった。実はその少し前、1969年にアポロ宇宙船の月面着陸を生中継でかたずをのんでテレビの放送にかじりついた世代である。NHKの科学分野の解説者 村野賢哉氏と、通訳であった西山千氏による月からの生放送だった。少年のうちでちょっと理科のできる者は科学系のロケット開発者を目指していた。少年たちがプロ野球選手を夢見るように。(続きを読む)

 

ホルスト 組曲『惑星』作品32

サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


《第5回》全9曲ベートーヴェンの交響曲を全部自分のものにしたい!

 

ベートーヴェンの交響曲全9曲を、好きなときに取り出してMQAのハイレゾで聴く。こんな贅沢なことができるようになった。それもバレンボイム指揮のベルリン・シュターツカペレによる本家本元とびきりの名演奏である。         

 

ベートーヴェンの第1番から第9番までの交響曲全集を所有するということは、レコード音楽愛好家にとっては、まさに夢の夢であった。ちなみに78回転のアナログSP盤の全集のときは、フェリックス・ワインガルトナー(1863-1942年)指揮ウィーン・フィルほかの全集が、42枚組。これがアナログLP盤になると、ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989年)指揮ベルリン・フィルの全集が、8枚組、CDの全集では、同じくカラヤン指揮ベルリン・フィルの全集が6枚組。ところが、MQAのハイレゾ・ヴァージョンのバレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレのベートーヴェンの交響曲の全曲演奏が、アルバム1回のダウンロードで、全部で37トラック,総演奏時間379分。(続きを読む)

 

Beethoven : The Symphonies ベートーヴェン 交響曲全集

ダニエル・バレンボイム指揮  ベルリン・シュターツカペレ


《第6回》もの凄い『新世界』や『未完成』を聴いてみませんか?

 

だんだんとクラシック音楽にひたってくると、今度は、同じ曲でも誰が指揮したとか、どこのオーケストラが演奏したか、スタジオ録音かライブ収録かなどと、より深いところへと興味が行くようになってくるものである。えてして趣味とはそうした自分で自分の深みにはまっていくことかもしれない。

 

今回取りあげるシューベルトの交響曲第8番『未完成』とドヴォルザーク交響曲第9番『新世界より』も、クラシック音楽に少し触れた方ならば、きっと何度かは耳にしたことがあるいわゆる有名曲であり、おそらくはCDなどの音源もお持ちのことと思う曲だ。しかし、今日ばかりは、同じ有名曲であっても、指揮者とオーケストラが違うとここまで、凄い曲になってしまうのかという例であり、それがMQAのハイレゾであれば、いや、ハイレゾであるからこそその凄みを初めて体験できるようになったのである。(続きを読む)

 

シューベルト『未完成』ドヴォルザーク『新世界』より 

セルジュ・チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団


《第7回》音楽祭の解放感いっぱいの演奏をMQAハイレゾで満喫してみたい

 

夏に通常、避暑地で開かれる音楽祭(フェスティバル)は、普通のコンサートとはまたひと味違って、ゆったりとした雰囲気でアーチストも観客も、音楽を本当に体いっぱいで味わうことができる。今回MQAでリリースされたのは、名ピアニスト マルタ・アルゲリッチと彼女の若き仲間たちによる肩の凝らない作品ばかりである。

 

スイス南部といってもイタリア・ミラノまで直線距離で60キロメートルの風光明媚な都市ルガーノは、昔から音楽が盛んな都市で、鬼才といわれた指揮者ヘルマン・シェルヘンがルガーノ放送交響楽団(現スイス・イタリア管弦楽団)を指揮した極めて個性的な演奏のベートーヴェン交響曲全集は、今でも語り草になっている。

 2002年からこのルガーノで、アルゼンチン出身の女流ピアニスト、マルタ・アルゲリッチの主催するルガーノ・フェスティバルが2016年まで開催されていた。アルゲリッチは1965年に開催された第7回ショパン国際ピアノコンクールで優勝したちまち世界的なピアニストとして知られている。(続きを読む)

 

マルタ・アルゲリッチ&フレンズ ライブ アット ルガーノ・フェスティバル2013

マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)他


《第8回》身も心もさわやかな気持ちになれる交響曲

 

仕事が忙しく身も心も疲れ切ったときなどに、ハイドンの交響曲を聴く余裕感があるといいと思う。

フルーティーな日本酒のようにさらっとスッキリしていて、それでいて切れのいい喉越しの音楽を味わってみませんか。

 

この1ヶ月というもの、ハイドンを集中して聴いてきた。結論ハイドンは、やっぱりいい。中庸の美! どこかが過度に突出するわけでもなく、ひたすら、さらさらと流れる音楽。それがハイドンだと思う。

 ハイドンはごく一部の曲を除き、ほとんど、そのメロディーを咄嗟に口ずさんだり思い浮かべたりできる曲が少ない。少しクラシック音楽を熱心に聴いたことがある方であれば、ベートーヴェン(1770−1827年)の交響曲第5番「運命」や第6番『田園』、シューベルト(1797−1828年)の交響曲第8番『未完成』は、咄嗟にその曲の「サビ」のところのメロディーが浮かんでくる。また、ハイドンと同時代のモーツァルト(1756−1791年)になればメロディーのまさに宝庫であり、枚挙に暇がない数々の音楽のように、メロディーが耳に残りすぐ浮かび口ずさむことができる。すぐに口ずさむことが難しいのであれば、ハイドンはいったいどこがそんなに面白いのだろうか?(続きを読む)

 

ハイドン 交響曲第88番『V字』から第92番『オックスフォード』、

協奏交響曲(バイオリン、チェロ、オーボエ、ファゴット、管弦楽のための)を含む

サー・サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


 

《第9回》 21年もかけた結晶が口ずさめるようなメロディーを生んだ

 

 ブラームスは、ベートーヴェン、バッハと並んで3大Bの一人といわれ、演奏会ではこぞって演奏されることが多い交響曲を生み出した。メロディーの美しさは群を抜いている。なぜ、ブラームスは第1番を作曲するのに21年もかかったのか?そこには知られざる秘話が隠されていた。

だんだんとクラシック音楽を聴き続けてくると、もしかするとブラームスの交響曲ほど口ずさむことのできるメロディーが出てくる交響曲は、ほかにはなかなかないのではないかと思うようになった。若い頃は、チャイコフスキーやベートーヴェンのメロディーを口ずさんだが、ある年齢を境に断然、ブラームスが耳の中で鳴ってきて口ずさめるようになった。ベートーヴェンの交響曲では、メロディーが次から次へと変貌を遂げていくのが常であるし、モーツァルトの交響曲では、あふれんばかりのメロディーの宝庫だが、印象的なメロディーがシャンパンの泡のように次々と出ては消えていくという運命にある。(続きを読む)

 

ブラームス 交響曲全集(第1番から第4番)

サー・サイモン・ラトル指揮

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 


 

第10回

ベルリン・フィルを率い、眼前に繰り広げられる豪壮な音楽

壮年期のカラヤンを今、味わう!

 MQAハイレゾはずっと前に録音された音楽さえも今に生き生きとした表情で浮かび上がらせる。レコード音楽という新たなジャンルを切り開いた帝王と呼ばれた男、カラヤンの壮年期の10曲を聴いてみたい。

ベルリン郊外、緑豊かな公園の森に囲まれた中に、プロテスタントの教会グリューネヴァルト教会は聳えるように建っている。1902年の創建、第2次世界大戦時連合軍の爆撃に遭うも、1956−59年に修復、遠くからも見えてくる塔の高さは50メートル、間口25メートル、奥行き40メートルの750名の礼拝ができるという大きな教会である。祭壇のところに、お決まりのグレーのタートルネック姿の指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908−1989年)が立ち、いつもは参列者の座る所にオーケストラのメンバーが居並んで、イギリスのレコード会社EMIがベルリン・フィルを擁して録音した時期があった。(続きを読む)