The New Sound of Maria Callas

『ザ・ニュー・サウンド・オブ・マリア・カラス』

 

各曲目の紹介 その1

【前半 トラック1〜トラック23】 

 

 

1,ベッリーニ:歌劇『ノルマ』 ノルマのアリア 「清らかな女神よ」

セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団 (1960年9月5-12日)05:40

 

素朴な旋律をもつ歌謡的声楽曲(カヴァティーナと呼ぶ)。巫女の長ノルマが神に向かって歌う名アリア。「人々の高ぶる心を、あなたの銀色の光で鎮めてください」。カラスはこのカヴァティーナを得意として1948-1965年の間に88回も舞台で上演している。

         

2,プッチーニ『ラ・ボエーム』第1幕よりミミのアリア「わたしの名前はミミ」

ヴォットー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団(1956年8月20-25日、9月3-4日)04:49

 

清純可憐なお針子の乙女ミミも演じることができてしまうのがカラスの凄いところ。ミミが、若き詩人の卵であるロドルフォに初めて会ったときに歌うアリア。      

 

3, プッチーニ『ラ・ボエーム』 第3幕よりミミのアリア「ミミの別れ」

ヴォットー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団(1956年8月20-25日、9月3-4日)03:19

 

ミミのロドルフォへ静かに語りかける告別の歌で、「あなたの愛の声に呼ばれて出た家に」と悲しみの中での絶唱。

 

4, プッチーニ『修道女アンジェリカ』アンジェリカのアリア「母もなしに、ああ、坊や 」セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月15-18日、20-21日) 05:33

 

不義の子を産んだアンジェリカは、子どもと引き離され修道院に入れられる。母の愛を知らずに亡くなった坊やと天国で再会するため、アンジェリカが自決を決意する場面で切々と歌われる。

 

5,プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』第1幕より ラウレッタのアリア. 「私のいとしいお父様」セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月15-18日、20-21日) 02:34 

 

曲は映画『眺めのいい部屋』(1986年・米)で使われたことで有名。冒頭で歌われ、娘ラウレッタが恋人との結婚の許しを、私の好きなお父さんに請うアリアで、愛らしくかわいく、けなげに歌われる。

 

6,ヴェルディ『椿姫』 第1幕5場よりヴィオレッタのアリア「不思議だわ」

サンティーニ指揮 トリノRAI交響楽団(1953年9月)01:20

 

『椿姫』の主人公ヴィオレッタが、いつも男性と浮き名を流しているというのに、今度ばかりは・・・と、どこか違う心のざわめき、恋の予感を歌う。

 

7, ヴェルディ 『椿姫』より第1幕 「ああ、そは彼の人か」サンティーニ指揮 トリノRAI交響楽団(1953年9月)03:00    

       

6に続いて、今まで待ち望んでいた男性との出会いを「正に不思議だわ!」と、揺れ動く恋心を、切々と心の内とともに吐露するアリア。圧倒的なカラスの歌唱に驚かされる。

 

8,ヴェルディ『椿姫』第1幕 ヴィオレッタのアリア「花から花へ」サンティーニ指揮 トリノRAI交響楽団(1953年9月)04:01

 

ヴィオレッタは、今までずっと自分は、「花から花へと渡る蝶々」のように、男性との逢瀬を楽しんできた。それなのに「たった一人の男アルフレードを愛するなんて戯言、快楽から快楽へわたしは、自由でなければならない!」と言い放つ踊りのような沸き立つアリア。相手役アルフレードにはフランチェスコ・アルバネーゼ(テノール)

 

9, ヴェルディ『椿姫』第3幕より「さようなら、過ぎし日の美しく楽しい夢よ」サンティーニ指揮 トリノRAI交響楽団(1953年9月)03:26   

        

当時不治の病だった結核にかかり、余命幾ばくもなくなったヴィオレッタが、社交界で華やかな頃の自分を懐かしんで歌う。題名の『トラヴィアータ』とは、「道を踏み外した女」という意味。しみじみとしたアリア。

 

10,ヴェルディ『イル・トロバトーレ』第4幕よりレオノーラのアリア「恋は薔薇色の翼に乗って」カラヤン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団(1956年8月3-4日、6-9日・ライブ)04:02

 

4幕の、素朴な声質をもつ歌謡的声楽曲(カヴァティーナという)。アラゴン王妃の美しい女官レオノーラ。飲んだ毒が効き始めると、レオノーラは愛する者のために死を選択した心情を訴える。悲しみが伝わってきてまさに絶唱。

 

11, ビゼー『カルメン』第1幕より カルメンのアリア「ハバネラ〜恋は野の鳥」プレートル指揮 パリ国立歌劇場管弦楽団(1964年7月6-20日・パリ・サル・ワグラム)04:18          

 

奔放に力強く生きるカルメンが第1幕で歌う有名なアリア。「恋は野の鳥、気まぐれよ 言うことを聞かない小鳥 呼べど 招けど あちらを向くばかり つかんだと思っても逃げていく。わたしを好きになったら用心することね」と、男を手玉にとるように妖艶に歌う。(ハバネラと呼ばれる)。驚いたことにカラスは『カルメン』を一度も舞台上演で歌っていない。全曲盤は録音のみである。

 

12, マスネ 『ウェルテル』 第3幕より シャルロッテのアリア「ウェルテル!この胸の内を誰が言えましょう…子どもたちの歓声が」プレートル指揮 パリ音楽院管弦楽団(1963年5月3-4、6-8日 パリ・サル・ワグラム)07:05

   

ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を原作に、多感で繊細な詩人ウェルテルの求愛に、すでに他人の妻シャルロッテが激しく動揺して、悲痛な思いを歌う。仏オペラらしくスムーズでシルキーな歌いっぷりと、力強い情熱的な歌いっぷりが同居している。熱唱である。

 

13, ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』第1幕 第2場よりルチアのアリア「あたりは静けさに包まれ」セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)04:05

 

ルチアは、不吉な昔話「あたりは静けさに包まれ、夜は深く、暗く、噴水の水面は陰鬱な月の青白い光を映していたわ」と歌い、自分の運命に恐れを抱く。ドニゼッティは、ロッシーニ、ベッリーニと並び19世紀の三大イタリア・オペラ作曲家と言われている。

 

14, ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』第1幕「別れ」より ルチアのアリア「あの方がこの上もなく燃える情熱に」セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)03:59

 

ルチアは恋人エドアルドへの激しい愛の快感に、我を忘れて「悲しみを喜びに変わる」と歌う。高音と低音の差の激しい超絶技巧のアリア。特にラストの高音の持続には驚かされる。

 

15, ロッシーニ『チェネレントラ』第2幕よりアンジェリーナのアリア「悲しみと涙のうちに生まれ」レッシーニョ指揮 パリ音楽院管弦楽団(1963年12月9-30日ほか) 06:19

 

「チェネレントラ」は童話「シンデレラ」のイタリア語訳 オペラ・喜劇(ブッファ)で、軽快な出だしに、シンデレラの苦境を泣きのメロディーで歌うのだが、ロッシーニはこれを超絶技巧で華麗に仕上げていて、他の歌手ではなかなか歌えないくらいの難易度の高いアリア。

 

16, ロッシーニ『セビリアの理髪師』第1幕よりロジーナのアリア「今の歌声は」 セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月17,18,20,21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)06:19

 

リンドーロ伯爵の求愛を受け容れたヒロイン、ロジーナが歌う軽さはもちつつも、技巧的にはアクロバティックなアリアで、「私の心にはもう愛の矢が刺さっていた」と歌う。本来はメゾ・ソプラノの持ち歌だが、音域の広いカラスにかかるといともたやすく低い音域から高い音域を軽々とクリアーしていくのが凄い。

 

17,プッチーニ『トスカ』第2幕より トスカのアリア「歌に生き恋に生き」 

プレートル指揮 パリ音楽院管弦楽団(1964年12月3-4,7-12,14日、1965年1月19日)03:00    

   

警視総監のスカルピア(悪役)は、捕らえた画家カヴァラドッシの開放と引き換えに,歌姫トスカに、彼女の肉体を要求する。窮地に陥った歌姫トスカは、「深い信仰と芸術のために自分は生きてきたのに、なぜつらい目に遭わなければならないか」を神に訴えかける。

 

18, プッチーニ『トスカ』第3幕より トスカのアリア「待つということは、なんて長いことでしょう」プレートル指揮 パリ音楽院管弦楽団(1964年12月3-4,7-12,14日、1965年1月19日)02:31

   

歌姫トスカは、画家カヴァラドッシにうまく死んだふりをするように言い残し、銃声が鳴り響く。空砲である筈の処刑だが・・・。カヴァラドッシに駆け寄るトスカが見たものとは・・・?

 

19, プッチーニ 『ラ・ボエーム』第1幕よりミミのアリア「麗しの乙女」 

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団 (1954年9月15-18日)04:08

 

可憐なお針子ミミと若き詩人ロドルフォの二重唱。見つけたばかりの幸福に浸りながら、「もう心の底ではこの上のない甘美さがちょっと恐くなっている」と歌う。ロドルフォにはカラスの相手役を長く務めたジュゼッペ・ディ・ステファーノ(テノール)が名唱を聴かせる。

 

20, プッチーニ『トウーランドット』第1幕よりトゥーランドットのアリア「お聞きください。ご主人さま」セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月15-18日、20-21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)02:29    

 

召使いのリューは秘かにダッタンの王子カラフへの切ない愛を「心が粉々になってしまいます」と歌う。ソプラノ・リリコと呼ばれる美しく柔らかな声質を必要とされる。しなやかな声の役柄の難しいアリア。

 

21, プッチーニ『トゥーランドット』第2幕より トゥーランドットのアリア「この宮殿の中で」セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月15-18日、20-21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)06:24    

 

第2幕でトゥーランドット姫が登場するなり最初に歌うアリア。アリアの最後に「異国の人よ、運命を試してみるのはやめなさい」と歌う印象的なアリア。高音域の充実した劇的でパワフルなソプラノ・ドラマティコと呼ばれるソプラノ最大の難役。

 

22, プッチーニ『トゥーランドット』第3幕よりリューのアリア「氷のような姫君の心も」セラフィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月15-18、20-21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)02:45

 

召使いリューが愛するカラフ王子のために、自らが自害するときに歌うアリアで「氷に囲まれているあなたは多くの炎に負かされてあなたも彼を愛するでしょう」と、氷のようなトゥーランドット姫君に訴えかける。プッチーニの生涯最後に作曲したアリア。『トゥーランドット』は続きをアルファーノが補作している。

 

23,プッチーニ『蝶々夫人』第2幕より蝶々夫人のアリア「ある晴れた日に」 

セラフィン指揮フィルハーモニア管弦楽団(1954年9月15-18、20-21日・ロンドン近郊ワトフォード・タウンホール)04:43

 

日本の長崎を舞台にしたオペラ。アメリカの海軍士官ピンカートンの帰りを待ち望んで蝶々夫人が歌う有名なアリア。「いつかある日、船の煙がひとすじ見える。ここへ来たら蝶々夫人と呼ぶわ」という絶唱。(続く)

 

※クレジット・データは、筆者が手元の資料をもとにリストアップしたものです。録音年・録音場所がわかるものは明記しました。