Meridian Audio 

Explorer 2 レビュー Part3


最近MQAのことが気になってきた、という人が急速に増加しているようだ。振り返ると2016年にe-onkyo musicが世界で初めてMQAコンテンツの販売をスタート。そして昨年秋にようやく待望のワーナーミュージックのMQA作品が日本でも大量にリリースされたことから改めて注目が高まっているのだ。もちろんタイトル数の上では依然としてFLACが圧倒的な主流なのだが、それでも1月現在e-onkyoで販売されているMQAアルバムは3,500を超え、DSD作品の約2.5倍に迫る勢いだ。これに近々発売が噂されるユニバーサルミュージック作品が販売開始となればさらに、MQAが加速することになりそうだ。

 

本稿では前・後編に分けてMQAの入門機として注目されているExplorer2の積極的な活用法と気になる音質を、新進オーディオ・ライターの橋爪 徹氏に再検証してもらうことにした。

 


 

MQAを開発したボブ・スチュアートが設計した世界初のMQA再生対応DAC。

 

“Meridian Explorer2”の実力をいま再検証する。  

 

コンセプトはSmall & Perfect. 美しいフォルムは工業デザイナー アラン・ブースロイドによるもの。英国ケンブリッジの自社工場でハンドメイドされる。Photo Naonori Kohira
コンセプトはSmall & Perfect. 美しいフォルムは工業デザイナー アラン・ブースロイドによるもの。英国ケンブリッジの自社工場でハンドメイドされる。Photo Naonori Kohira

 

筆者は自らハイレゾ音楽の録音、制作に関わる活動をしている。日頃から多くの人にアーチストの演奏をダイレクトに良い音質で楽しんでもらいたいと願っている。ハイレゾで録ってそのままのクオリティで、リスナーに届ける。この考え方こそMeridianが提案してきた音楽スタイルではないだろうか。MQAが再生できるDAPもいくつか発売されているが、手持ちのパソコンと接続して、据え置き機に負けないクオリティの高いシステムを実現できるのがメリディアンのExplorer2の最大のメリットだ。早速、実機をチェックしていこう。

 

■据え置きDACにない手軽さとおしゃれ感を満喫できるExplorer2 

まず、一見してゆるやかに丸みを帯びたデザインはオーディオ独特の無骨さを感じさせない。商品名のシルク印刷もさりげない色味で好印象だ。アルミ押し出し加工のボディは手触りが良いマット仕上げになっている。全体的にとても堅牢で中身がギュッと詰まっているように感じる。スマートな外観ではあるが、メリディアンのボブ・スチュアート初のMQA DACとしてのこだわりを十分に感じとることができる。決して安くはない商品だが、手に取った瞬間に英国ハンドメイドの質感を十分に感じることができる。

16core/100MIPSのXMOS社の高速DSPを搭載したデジタル回路とオーディオ専用コンデンサーを使った電源回路とアナログ回路部が整然とレイアウトされた6層基板。クラスを超えた音質を支えているのは、ハイエンドメーカーならではの高度なノウハウだ。
16core/100MIPSのXMOS社の高速DSPを搭載したデジタル回路とオーディオ専用コンデンサーを使った電源回路とアナログ回路部が整然とレイアウトされた6層基板。クラスを超えた音質を支えているのは、ハイエンドメーカーならではの高度なノウハウだ。

 

■世界初のMQA再生DACとして設計者がこだわったナチュラルな音質

 

PCにExplorer2を接続して軽く使ってみよう。

まず、ノートPC周りの小さなスペースに置いても、邪魔になることもなくセットできるのが便利だ。そしてUSBケーブルでパソコンと接続しヘッドフォンをセットすると、まずノイズの無い静寂な世界が手に入ることに気がつく。筆者のスタジオは、防音設備が完璧なのでシビアなノイズのチェックにも最適なのだ。言うまでも無く大半のPCのヘッドフォン端子は音質への配慮が欠落していると言わざるを得ない。つまりPCに直接イヤフォンをつなぐと無音状態であっても、すでに不快なノイズが気になってしまうことがあるのだ。

 

音楽ファイルを再生すると、サンプリング周波数ごとに本体のランプが48k/44.1kは1つ、96k/88.2kは2つ、192k/176.4kは3つ点灯する。そしてMQAを再生するときだけ一番端のランプがブルーに光る。この表示が点灯すると、何かワクワクしてしまうし安心感にもつながる。高級DACと同じく44,1kHz系と48kHz系のクロックが独立して装備されているのだ。

 

 

■ハイレゾとMQAの再生の違いは?

 

いくつかハイレゾ音源をYAMAHAのHPH-MT220で聴いてみた。

まず一聴して癖の少ないフラットな周波数バランスに感心した。各社のDACはメーカーごとに大なり小なり個性的なバランスの製品が少なくない。これはヘッドフォンやイヤフォンの特性を踏まえてチューンをするためだ。しかし、本機は何を聴いてもナチュラルに聴かせてくれる。決して低域の量感をむやみに誇張するタイプではない。小さなアンプだが、ヘッドフォンをしっかりドライブしてくれる感触があって音量感としても問題なかった。

PCオーディオの使い勝手は、パソコンの再生ソフトに大きく依存する。今回、Windows用Music Center for PCでMQAも快適に楽しむことができた。これからハイレゾ再生をスタートする方には筆者がお薦めするソフトの一つだ。
PCオーディオの使い勝手は、パソコンの再生ソフトに大きく依存する。今回、Windows用Music Center for PCでMQAも快適に楽しむことができた。これからハイレゾ再生をスタートする方には筆者がお薦めするソフトの一つだ。

 

MQA音源を聴いてみると、通常のハイレゾ音源との違いが実によく表現される。筆者が録音制作に関わったフュージョン作品では各楽器の音像やポジションがクッキリとして、例えばサックスの音の色艶の再現性も増したように感じる。

 

民族音楽の演奏では幾重にも重なり合う楽器の音が立体的な躍動感をもって聴こえるので、自然とテンションがあがってくる。MQAならではの時間精度の向上により、生演奏本来の音の立ち上がりが良くなって抑揚やキレの良さまでダイレクトに聴こえるのだろう。まるで歌や演奏が上手くなったようにも思えるから不思議だ。これでファイルサイズは普通のハイレゾよりはるかに小さいのだから驚きである。

■パソコンで楽しむ動画の音質も驚くほどグレードアップ

続いて、PCで動画コンテンツを見てみた。

実は筆者の使っているPC本体のヘッドフォン出力もご多分に漏れずS/Nが著しく悪く、おまけにSSDのアクセス音まで時々「チッチッ」と聞こえてくる始末。霞が掛かったようなボンヤリとした音像にガッカリだ。さて替わってExplorer2をUSB接続。You tubeの報道番組を視聴すると、まずアナウンサーの声の臨場感が段違いだ。録音された部屋の空気感まで分かるよう。PCの内蔵出力ではボヤけていた音声がクリーニングされたように、説得力を増して聴こえてくる。アニメを見ると劇伴(効果音)と声優のセリフの分離が良いのでより没入感が高まる。筆者はExplorer2をMQAのチェック用に利用してきたのだが、ハイレゾやCDリッピングなどの音楽鑑賞に限らず日常的に動画の再生を楽しんでいるかたにも便利でお薦めできるDACだと思う。

 

日常生活でPCでニュースやアニメ、Youtubeで音楽を楽しむ人も少なくないと思う。Explorer2はハイレゾ音源だけでなくCDリッピングや普段使いで聴いていたパソコンの音質も確実にグレードアップしてくれた。
日常生活でPCでニュースやアニメ、Youtubeで音楽を楽しむ人も少なくないと思う。Explorer2はハイレゾ音源だけでなくCDリッピングや普段使いで聴いていたパソコンの音質も確実にグレードアップしてくれた。

 

このように、Explorer2はPCを核としてコンパクトでスマートに、かつ音質にも妥協しないハイレゾ環境を手軽に構築できることを確認することができた。

 

昨今ハイレゾの楽しみ方としては、DAPが盛り上がっているものの、筆者としては自宅では、じっくり腰を据えてスピーカーで音楽を味わうこともぜひお勧めしたい。スピーカーで聴くと、お気に入りの楽曲のサウンドステージがCDよりもさらに深みを持って緻密に組み立てられていることに驚くはずだ。 本稿の後編でスピーカーシステムでCD/ハイレゾ/MQAをじっくり比較試聴テストをしてレポートするのでご期待いただきたい。

 

Text by Toru Hashidume 2018