MQAーCDの音質メリットについて 『第九』試聴会を終えて

 

■MQAの生々しさ

 

12月に新宿ビックロで行われたMQAの「第九」試聴会でお客様からツィッターで感想をいただきました。MQAの音質のメリット、ハイレゾが実現している本来の良さって何だろう。そんなことを考えるキーワードをいくつかみつけることができそうです。当日、ナビゲーターを務めた麻倉怜士さんが、「MQAの生々しさ」と題して興味深いお客様の声や反響をピックアップして教えてくださいました。このブログの読者の方にもシェアさせていただきます。

 

 

いやぁー、凄かった!

演奏会で鑑賞したくらいの充足感と心地良い疲労感。素晴らしい演奏がMQAによって更に磨きが掛かり生命力が宿った様でした?? 

 


 

■『心地良い疲労感』が得られる。

 

当日は2時間を超えてMQA-CD2枚の『第九』をひたすら聴くという試聴会でした。上記コメントの通り、あるお客様が、生の演奏会のような『心地良い疲労感』があった、と書いておられました。振り返ってみると確かにどんなに好きな音楽でもデジタルを長時間聴くと疲労感があります。それが心地良いという形容されることは、今まであまり経験がありませんでした。しかし、生のコンサートを終えて家路につく時に感じる『心地よい疲労感』はどなたでも経験があるのではないでしょうか。それが、最悪の音響と思われるあの武道館ライブであっても。

 

■(演奏会と同じ)『空気』と『時間軸』

 

今までのPCMと何が違うのか、ということについて『空気』と『時間軸』という言葉で形容されたのは、当日ナビゲートを務められた麻倉怜士さん。まだ、仮説だけど・・とされながらも、次のようにコメントされました。

~MQAだから演奏会をその場で、その空気の中で聴いているような心地好い疲労が得られるのではないでしょうか。時間軸が演奏会と同じだから。リニアPCMでは感じない素敵な疲労感はまさにMQAだからか。仮説ですが。

 


麻倉さんは、おそらく評論家の中でも最も多く東西のクラシック演奏会に足を運んでいる方です。昨年はMQAの開発者のBob Stuartとイギリスの著名音楽祭プロムスのフィナーレを楽しまれたそうで、まさに世界各地の著名ホールで生の音楽を聴いた経験が豊かな生粋のクラシック・ファンです。その麻倉さんがコメントで抽出された『空気』は音を我々に伝える媒介でもあります。

 

音は空気を介して我々の耳に到達しますが、その音がどこから来るのか、ということは、左右の耳にその音が到達する時間差で認識して広さ、広がりや奥行き、動きやゆらぎを感じています。MQAで『時間軸』情報の再現性が大きく改善されることにこそ、リスナーから見た大きなメリットがあるということを示唆されたものでしょう。

 

 

 

ウィーンフィルの高価なチケットを買って演奏会場に出かけると、こういう美しい音の演奏が楽しめるのだろうか、と感じさせる最新録音の、ネルソンス指揮 ベートベン交響曲全集。

 UCCG40091 MQA-CD5枚組 11,000円


 

 

ここで少々の脱線をおゆるしください。実は時間軸精度という概念が、我々には、なかなか難しいものであるように思います。この用語は、しばしばオーディオ雑誌等を読まれている方は目にされたことがあるかもしれません。周囲のオーディオに詳しい人に聞いてみると、どうも「時間軸の精度」と聞くと、デジタル信号を伝送するときのクロックの精度を連想する人が多いようです。しかしクロックはアナログに戻る前『デジタル信号領域の受け渡し精度』のことになります。むろんクロック精度も再生音質を大きく左右する要素でオーディオ好きにとっては大切なのです。しかし、MQAが言うところの時間軸のお話とは、まったく別の概念として整理しておくことが必要でしょう。Bob Stuartは、講演ではTime Information (時間情報)という言葉を使っています。それを阻害するTime Blur(時間のぼけ)を改善させるのがMQAの目標だとしています。

 

さて、本題に戻って、最後のキーワードに。さらに、当日ご参加はされておられませんが、日常、生録音やMQA再生を積極的に楽しまれている方から次のような素敵なコメントをいただきました。

 

録音を聴いて演奏会で鑑賞したくらいの充足感と心地良い疲労感を得られたとは、デジタル再生が進歩した感。リスニング時のストレスが少ないことも実体験として感じています。

 


■リスニング時のストレスがない。

 

音楽を聴くときに感じてきたストレス。それが少なくなるとより演奏者との距離が縮まって音楽そのものと向き合って聴くことができるようになります。自然と没頭して集中することで疲労感が増すのかもしれません。しかし、それが心地よく、充足感をもたらすと感じることができたら最高です。

 

私事ですが年を重ねて初めて近視になり、そしていよいよ老眼鏡のお世話にもなるに至りました。レンズを通すと、若いときよりむしろ視界は良くなり、明るくなって極めて快適なのですが、それが長時間になると必ずストレスを感じます。目薬の世話になるようになったのは、むしろ眼鏡を使うようになってからのように思います。つまり、視力が良くなること、よく見えることと、眼がストレスを感じる、脳が疲労することは全く別のことだと体感しています。

 

オーディオについて私見を申し上げると、アナログレコードやテープでの再生は、裸眼に近い感じがします。そしてデジタル再生は、眼鏡をかけているような感触でした。そしてハイレゾ再生では、レンズがドイツ製になったような、そんな印象を持っていました。そしてMQAは裸眼でも、よく見えるようになったような印象があります。

 

今回、第九の演奏会では、皆さんが一時、デジタル再生とい眼鏡をかけていることを忘れて演奏そのものを楽しんでいただけたのかもしれません。不思議ですが、特にとても小さなピアニッシモの時の楽音に、まるで本当にそこで楽器が鳴っているようなリアリティを感じました。このあたりは、部屋の音響やスピーカーによって、また違う印象になるかもしれません。色々な発見のある楽しい試聴会でした。


 

当日、圧倒的な存在感で鳴ったフルトヴェングラーの第九。当ホームページで連載中の『MQAで聴くクラシックの名盤』でその魅力を詳しくご照会しています。ぜひ、ご一読ください! WPCS28420 MQA-CD  3,300円

 



2019/12/21 新宿ビックロ 機材DENON プリメインアンプPMA-SX11 LIMITED CD-SACDプレーヤー DCD-SX1 LIMITED MQAフルデコーダー Meridian218 スピーカー DALI EPICON6
2019/12/21 新宿ビックロ 機材DENON プリメインアンプPMA-SX11 LIMITED CD-SACDプレーヤー DCD-SX1 LIMITED MQAフルデコーダー Meridian218 スピーカー DALI EPICON6

 

■感謝。そして2020年もハイレゾ音楽の醍醐味、楽しさを。

 

音楽をオーディオで楽しむ上で、演奏から空気とか時間の気配を感じること、例えばフルトヴェングラーの足音を正にそこに感じ、彼の立ち姿を目の前に見ることは贅沢な体験です。ハイレゾ、オーディオは単にスペックの向上や音質の改善ではなくて音楽体験の改善、音楽と人との関わりをもっと進化させるものであるべきです。今年最後のMQA-CD試聴会を終え、来年に向けて大いに励みになる、大切なキーワードを皆さんから頂くことができました。21012年もさらに日本でMQA-CDは発展していくものと思います。

 

 改めて素晴らしい試聴会の機会を下さった麻倉さん、その音楽に対する深い愛情には心より敬服です。そして新宿ビックロの皆さま、今回も素晴らしいMQA-CDコンテンツをご提供いただいたワーナークラシックス様、ユニバーサル・ミュージック様、何より寒い中、会場にお越し頂いた皆さまに心より感謝申し上げます。

 

来年も皆さまと、より快適に音楽を通して豊かな時間と空間を共有できること、そんな夢の実現をテーマにして参ります。そして聴いていただいた皆さまに確かな充足感と心地よい疲労感を感じていただけるよう、さらに精進しなければなりません。一年間、本当にありがとうございました。

 

★参考リンク

 

MQA 日本語ホームページ

 

Stero Sound ONLINE

 橋爪徹のMQA徹底解説 1

 橋爪徹のMQA徹底解説 2

 

音元出版 PhileWeb

 佐々木喜洋 CDでハイレゾ「MQA-CD」徹底解析! 

 AV Watch

 麻倉怜士の大閻魔帳 日本で生まれたMQA-CD

Pen 黒物家電コンシェルジュ

 麻倉怜士 限りなく生に近い音を奏でる、MQA-CDが凄い。

 

 

各コメントは個人の感想です。実際にMQAーCDの音をお聴きになりたい方は、インフォメーションまでメールでお問合せください。