ユーザーリポート 01
悶々とした日を過ごすうち、ネットを検索して偶然に知ったのが、メリディアンのDIRECTOR ダイレクトDAC。USBおよびS/PDIFデジタル入力&RCA出力のみというシンプルなDACです。これなら私にとって必要なところに絞ってコストが掛かっているはず!
かつて輸入代理店がアクシスさんだったとき、わがホームシアターのメインシステムにメリディアンの500シリーズやGシリーズを使っていたことを思い出しました。ブルーレイとHDオーディオに対応しなかったため一式手放しましたが、ヴォーカルの濃密な表現、弦楽器の滑らかな響きは、他にない魅力でした。
さらにDIRECTOR ダイレクトDACの謳い文句を読むと、「メリディアンのアップサンプリング技術がオリジナル音源の音楽性を引き出す」(※注)。「PCだけでなく、テレビやCD、ファイルオーディオまでのデジタルソースと、貴方のアナログハイファイシステムの架け橋となります」。
つまり、これをひとつ追加するだけで、オーディオ・ビジュアルのあらゆるソースの音が、かつて愛したメリディアンサウンドに変身するという訳です。しかも費用は10万円以下、それも私にとって必要にして十分な機能で!
PCの柔軟性を生かしてどんな音でも変身させる。
オーディオファイルだけでなく
映像ソフトまで「聴きたくなる」
注文して届いたのは、ちょっとリッチなパウンドケーキでも入っていそうな黒いBOX。中には、S/PDIF接続時に使うアクセサリーの他は、手で握ってちょうどいい大きさのアルミニウム梨地仕上げの本体と、簡単な接続方法が書かれた赤いシートだけ。これまたシンプルで上質というコンセプト通りで嬉しくなります。
MacBook Pro(Retina 13inch)との接続は、ドライバーも要らず、ただUSBケーブルを繋ぐだけ。さっそく、RCA出力の音をプリメインアンプに入れ、Audirvana Plusでファイル再生を試しました。
最初は低音スカスカで定位も曖昧、正直焦りましたが(笑)、一晩経つとみるみるメリディアンサウンドに。以前とは再生ソース自体が違うこともあって一概には比較できないかもしれませんが、全帯域に渡ってきちんと解像している印象です。それでいて、濃密な音楽性と滑らかな響き、立体的なサウンドステージは、私にあのメリディアンサウンドを思い起こさせるのに十分でした。
調子に乗ってCDの同軸入力も試したりしましたが、やはり真骨頂はUSB接続です。TIDALをやり始めたら、もうCDプレーヤーは要らない・・・そう確信してしまいました。
私にとって予想外の収穫は、ブルーレイ再生のハイ・クオリティぶりです。BDドライブとMac Blu-ray Plyerで楽しむブルーレイの世界は、100インチクラスのプロジェクター映像と本格的なステレオシステムで再生するに相応しいクオリティを持っています。私はこのために、リモコン代わりのワイヤレストラックボールを購入しました(笑)。
これからはオーディオもビジュアルも配信の時代になるのでしょうか…? 再生ソース、それにつれて再生機器もめまぐるしく変わっていくのでしょうが、DIRECTOR ダイレクトDACのようなPCと繋ぐだけのお気に入りの汎用DACを持っておくと、徒に新フォーマットに振り回されることなく色々なソースを楽しめるのではないかと思いました。
※注
DIRECTOR
ダイレクトDACは話題のMQAには対応していないが、位相特性に着目してプリエコーを最小にするという手法は、ボブ・スチュワートがリファレンスCDプレーヤー808やアクティブスピーカーDSP7200までで進めてきたジッター対策とDSP技術の蓄積の延長線上にある